アトピー性皮膚炎の治し方がわかる本

アトピー性皮膚炎とは何か~現代医療の実体~

子供の代表的な病気、単なる痒みの症状であったアトピー性皮膚炎。それがいつの間にか難治性の疾患と呼ばれるようになって随分年数が経ちました。以前は成人になるにつれて治ると言われていたものですが、最近では治りにくい病気だから気長に付き合っていくしかないと言われています。そして現在では成人型アトピー性皮膚炎という疾患名まで出来るほど、つまりそのアトピー性皮膚炎という病気を引きずって、治ることもなく成人へと成長しているのです。

自然に治るものが、何が原因で難治性へと変わってしまったのでしょうか。成人になると治るはずだったのに、何が原因で激増しているのでしょうか。現代の医療ではアトピー性皮膚炎の原因は不明となっています。他にも『難病』といわれる原因不明・有効な治療法のない疾患が時代とともに確実に増加してきています。

『癌』や『エイズ』もいまだ特効薬も見つからないまま「難病・死病」の代名詞として次の世代を迎えようとしています。しかし、これだけ科学が進歩し、クローン生物が次々に生産されていく世の中で、実際には風邪を治す薬すら存在していないのが現代の薬物事情なのです。

毎日のように新聞を賑わせている「薬物の誤投与」、通常の数倍投与された抗ガン剤や抗生物質で亡くなる人々。薬が病気を治すのであれば、いくら多く投与しても死なないはずではないでしょうか。使えば使うほど、元気に、健康になることが治るということではないでしょうか。これらは人々の素朴な疑問でもありましょう。

薬が『病気を治す』ことが世間の常識となってしまった現在では、誰もが信じて疑わないことを「覆す」のは難しいものです。ましてや敢えて誰もしょうとはしません。見て見ぬ振り、気付いても知らぬ振りのままであればいつまで経ってもこの間違った常識は改善されないのです。

薬物の作用とは、症状を一時的に抑え込む、症状を緩和することで表面的に治ったように見せかけることです。しかし、サジ加減を誤ると人が死ぬほどですから、薬の強弱はあるにしても身体が受けるダメージ(免疫力・抵抗力の低下)は間違いなく表面下で起こっているのです。それが積み重なると副作用として、はっきり表面にでてきます。

薬物で人間の身体をコントロールし、病気の真の原因を追究しない「対症療法」だけの現代の医療に不安を感じるのは私だけでしょうか。対症療法が続く限り、医師がその病気を治すために施した、薬物治療の副作用により新しく作り出されたまさしく奇妙な病気ばかりが次から次に発生してくることでしょう。

病気が何故発症したのか、過去の生活を顧みることがまず治療の出発点であり、悪い生活習慣を変えず安易に薬物を使用し、治ったつもりになっていたのでは、いつまで経っても、またどんなに世の中が進歩しても、人間は永久に「病から開放」は得ることができません。

確かに、生命に危険が生じている、ある疾患に対し薬を使えば生命が助かり、使わなければ死ぬことが分かっている場合であれば、その薬を使うことは当然のこと。病を治すことはできなくても、緊急時に一時的にでも生命維持を行う力は、薬にあるからです。また一時的に苦痛を和らげるためにケースバイ・ケースで使用することがあっても、それはそれで使い方としては効果があるでしょう。しかし、ほとんどの疾患については「絶対に薬が必要」という状況下には陥ってはいません。そして、何割かの患者は、「絶対に必要」ではなかった薬の漠然とした使用により、その副作用に苦しむことになるのです。

ある研究機関の調査によると、現在病院に入院しておる患者の4分の1、つまりその25%の人々が、元の病気を治療するため使用してきた薬の副作用による医原性の疾患や異常状態を治療しているそうです。

そして副作用を治療するために用いた新しい「薬物」によってさらに三次疾患が発生し、そして今度は四次疾患へと雪だるま式に医原性の疾患が増え続け、それらの治療に追われているのが医療現場の実情です。そして、この「副作用を治療する」ために使われる医療費つまり「薬物療法」によって悪化した患者の治療代金はこれも薬代金ですが、当然のことながらすべて国民の「税金」で賄われています。国家予算の4割に近い年間29兆円という膨大な医療費、そして毎年1兆円ずつ増え続けるこれらの医療費によって国家財政、健保財政は破綻に瀕しているのです。

製薬会社、薬を売らねば生計が立たない病院、そして行政。この三者の癒着が、人を救うための医療を、いつの頃からか経済性を優先させた薬漬けの「医業」として定着させ難治性疾患、慢性疾患だらけの世の中にしてしまったような気がしてなりません。

人間はそう簡単に「慢性疾患・難治性疾患」にはならないものです。毎日繰り返される悪い生活習慣が身体のある部分に機能の低下を起こし、それが次第に「症状」となって現れ出した時点、つまり初期症状の段階で的確な対処(規則正しい生活習慣)を行なわず、やみくもに薬物を投与した結果によって身体機能の低下がもたらされ、二次三次の疾患が起こり、さらに合併症が出現します。このようにして、慢性化・難治化が進んでいるだけなのです。

つまり難病とは、急性的な病原微生物を原因とする感染症などよりも、毎日の生活の積み重ね、あるいは過剰な薬物治療により生じる「人為的」要素の強いものである場合が多いといえるでしょう。

私は「温泉湯治療法」「自然療法」を長年説いてきましたが、その手法の中でも自宅で行なう「自宅湯治」では、患者は医師のカウンセリングを受けながら家族全員が入るお風呂において湯治を行ないます。

したがって、家族に他の病気の患者がいれば一緒にカウンセリングを受け療養が可能になります。そのため湯治の治療経過についてはアトピー性皮膚炎だけでなく、家族が抱えるありとあらゆる疾患に関しても観察することができるのです。

湯治とは、呼んで字のごとく「湯」で「治す」つまり「治療」です。日本人は、お風呂に毎日入る習慣がついています。場合によってはシャワーのみですます人もいますが身体を洗って湯船につかり身体を多少温めて上がるという程度が、普通の人にとっての入浴です。これらに要する時間は平均22分間だそうです。

これに対し、毎日の生活習慣の中で1日3~4回、病気を治すために30分から60分、不感温度(37度~39度)でしっかり身体を温め多量の汗をかくこと、また多量の汗が出るような身体に変わるまで毎日入浴を繰り返し続けること、この行為が湯治であり、一つの治療です。

そして、このような「手法」にしたがって1年半から2年半と療養を続けることのよりアトピー性皮膚炎だけでなく癌を筆頭にリウマチ、膠原病など「難病」といわれる、多くの患者の症状の改善するさまを私は観察してきています。

仮に病んだ身体の人々がこのような手法で、薬物治療のみに頼らず、朝、昼、夕方、就寝前と40分~50分の湯治を毎日3~4回しっかりと行い食生活に心がけ充分な睡眠をとるような生活を行なっていった場合、1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月と経過するにつれて、その患者にどのような症状の改善が現れるのか現代医学では全く分かっていません。そのようなデータをとった臨床例は世界中にないからです。

人間の病んだ身体を癒すのに、もともと薬物は必要ありません。薬物は生きた人間にとっては「異物」であり、逆に自然に治ろうとする「治癒系」を阻害することにつながります。人間の身体には治癒系つまりヒーリングシステムといわれるものがあり、病気になったり傷を負ったりすると健康な身体に戻すための仕事を始めます。これらのヒーリングシステムを手助けする手法が本来の医療であり、その医療のあり方は薬物依存ではなく「自然治癒依存」でなければならないのです。

基本的に慢性疾患と呼ばれる「病気」は、患者本人が日常生活の中でつくり出したものです。したがって漫然とした薬物投与を控え、日常の生活改善を行なっていけば患者自身の身体がいずれそれを自然に「治癒」するものなのです。

アトピー性皮膚炎も同じ心身機能低下によって一時的に現れた症状にすぎないのであるから患者自らが毎日の生活習慣の改善を行ない、ホメオスターシス(自己を一定の状態で常に健康に保つ恒常性)を高め、免疫力・抵抗力をつけることにより症状は改善し、いずれ自然消退するものなのです。

医者でもない素人に何が分かる、とお叱りを受けるかもしれませんが、医者でもない人間であったからこそ、その「真実」が解り自然療法が説けたのです。私は、基本的に薬物投与を控える大勢のアトピー性皮膚炎患者の「生活改善」を指導し、13年間に膨大な数のアトピー性皮膚炎患者の改善されるさまを見届けました。その回復までの血液検査、回復経過写真、毎日の生活改善報告書、自律神経失調の改善状況などについては、記録され保管されています。

1992年に発行した月刊アトピーマガジン「湯治の声」は2000年4月号で延べ90巻になりますが、それらをみっていただければ「アトピー性皮膚炎がなぜ発病したか」「なぜ治らなかった」「なぜ治ったか」が、誰でも理解できるでしょう。従来の医学の考え方ではアトピー性皮膚炎の定義は、いまだ明確になっていません。

皮膚科学会においてアトピー性皮膚炎の定義が発表されてはいるものの実際の治療現場において、その定義にしたがって診断されていることはまず少ないのです。医師の多くは、きちんとした診断に基づき判断していると言いますが、患者がそのように受け取っていないのであれば、これは医師側の責任と言えるにではないでしょうか。

しかし、実際の診断においては、例えば乳児・幼児が皮膚に炎症を起こし痒みのある状態で治療に行けば九分九厘、医師からはアトピー性皮膚炎と診断されるでしょう。保健所などの定期健診で、先にあげた検査を行なわずに「アトピー性皮膚炎ですね。」と言われた母親は数多いのです。

当然のことながら医師にそのように宣告された親は慌てふためくことになります。「子供の病気だから大人になれば自然に治る」と言われていた昔と違い最近ではアトピー皮膚炎の情報も巷にあふれ、周りにも重症化した難病アトピー性皮膚炎の子供たちが大勢います。我が子も難病アトピー性皮膚炎でもう治らないのかという悩みは深刻になってきます。

医師によっては「お宅のお子さんの将来は暗いですね」「一生治りませんよ」と平然と言う場合もあり、うちひしがれることになる。そのような状況で主治医から「私の指導管理のもとに上手に使えば副作用など出ませんよ」と言われればステロイドが怖いということは聞いていても自分の子供だけは大丈夫だ、と半信半疑ながらも無理矢理自分を信じ込ませて薬を使い続けてしまいます。そして気が付けば、いつの間にかすっかり「ステロイド依存症」「ステロイド粉飾人間」ができ上がっています。

現在全国アトピー友の会には5万人の会員がいますが、その85%は35歳以下であり、これから社会に出る20代の人々にとっては、アトピー性皮膚炎の症状が、また治療に施した劇薬ステロイドの副作用により白内障、網膜剥離という最悪の障害が発症しそれらが手枷足枷となって人生を狂わされているのが実情なのです。