アトピー性皮膚炎自然療法

対症療法と原因療法

現代医療では、アトピー性皮膚炎治療の目的は治すこと、つまり根治においたものではなく、症状に対して薬物で抑えこみコントロールしながら、患者の日常生活に支障のない状態をつくり、生活を優先させるという対症療法である。

これに対して自然療法では「完治」を目的とし症状を抑えこみコントロールするのでなく、その病気を治すことを優先している。したがってその『手法』は薬物に依存せず、病気の原因を探り、その発症原因に基づいて治す(原因療法)である。

このようにその治療の目的も、またその治療法も全く異なるものであり、したがって治る・治らないの論争はともかく、それぞれに存在価値があり、全く異なるものをとやかく論じ合っても意味がないが、この二つの異なる治療法についてそれぞれのメリットをあげてみよう。

対症療法とは、現代医療が行う治療法で治療の目的を「根治」に求めるのではなく、症状をステロイド等薬物によって常にコントロールし、日常生活に支障のない状態に抑え、自己の生活を優先させる治療法である。
この治療法のメリットとしてあげられるものは、

  1. 軽症者にとっては、適時適切にステロイドを使用し症状を抑えることができる。
  2. 患者は痒みという不快な症状を抑え、日常生活を優先させることができる。
  3. 健康保険が適用できるため、治療代が安価である。
  4. 根治療法ではないため「完治」は望めないが、生活に支障のない程度であればステロイド使用で凌げる。
  5. 副作用の問題は常に伴うが生活優先と割り切って考えれば便利である。

ということが挙げられる。 

これに対して原因療法では病気が発症した原因を探り、その発症原因を改善しながら病気の「根治」を目的として、ある程度の時間と費用はかかるが薬物を使用しないため副作用の心配はなく一生病気と付きあっていく必要はなくなる。しかし、安易な気持ちでは途中で挫けてしまうほどで、その過程も決して楽なものではないが最後には完治が待っている。
この治療法のメリットとしては、

  1. 一時的に時間を要するが「根治」後に病気(痒み・炎症)で悩むことはなくなる。
  2. 健康保険の適用がないので自己負担となり費用はかかるが、他の病気の予防も同時に出来るためマイナスにはならない。
  3. 病気を克服することを優先とするため、一時的に自己の生活に支障はでてくるが生涯症状をコントロールして生きて行くのではなく『完治』することができる。
  4. 副作用の発生、また医原性の疾患に陥る心配はない。
  5. 「完治」後は健康人として、薬物を携帯することなく生活できる。

以上のようにそれぞれその目的も手法も異なっており、そのことを患者側がしっかりと認識すれば、混乱することなく自分にあった治療法を選択できる。本来アトピー性皮膚炎は、決して難病などではないし一生治らない疾患でもない。

現代医療では、アトピー性皮膚炎において、先に述べたように「皮膚」の治療を目的とした対症療法を行なっており、治すという意味合いから行けば全く的外れの治療法である。身体の異常状態が症状となって現れているのだから何故そのような症状が現れたかの原因を探らない限り、いくら症状を抑える対症療法を行なってもアトピー性皮膚炎は治らない。

つまり表面のみの治療ではなく原因を探り、その原因を正すこと原因療法が大切なのではないだろうか。何故ならアトピー性皮膚炎とは「アレルギー体質者に何らかの身体の異常状態が発生した場合に身体が自ら生じさせる単なる皮膚炎」であるからである。

言い換えればアレルギーの体質者に、慢性的な睡眠不足、食生活の乱れ、運動不足、ストレスなどの生活習慣による自律神経失調「乳幼児にとっては両親からの遺伝」の症状が認められ免疫力・抵抗力の低下、またそれらに伴う内蔵機能およびホルモン産生・分泌機能の低下や化学物質などの摂取による「軽微」な異常状態が身体に発生し、結果的にズレた免疫作用を引き起こし「警告信号」としての痒み・炎症が皮膚に発生しているということである。

このようにその原因は体質、生活習慣、生活環境など多岐にわたり、その意味でアトピー性皮膚炎は単体の「皮膚炎」ではなく原因が複雑に分岐した「症候群」であるといえる。

病名についても、むしろ「アトピー性症候群」としたほうが分かりやすいと思う。人によってはその警告信号が皮膚でなく鼻に出る時があり、そのような場合は花粉症・アレルギー性鼻炎となり、目に出ればアレルギー性結膜炎、気管支に出れば喘息といわれるものになる。つまりアトピー性皮膚炎の原因は「皮膚」ではなく身体の各種の異常状態にあり、それらの異常状態が「痒み」「炎症」という「症状」を皮膚にもたらしているだけなのである。

しかし対症療法では皮膚にステロイド剤、抗炎症剤を塗る、あるいは抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤を飲ませるといったことは、確かに痒みや炎症という「症状」には一時的に対応できるのかもしれないが、身体の異常状態というアトピー性皮膚炎の根本原因を治すことは不可能で、したがって現在の治療においては、アトピー性皮膚炎は「難病」とされてしまうのである。昔の医師はよくこう言っていた。「アトピー性皮膚炎は大人になれば自然に治ると」その通りである。

「何も治療しない」で放っておけば、成長とともに自己の自然治癒力、免疫力が徐々に高まり、いずれホメオスターシスの働きにより身体の「異常状態」という原因一つ一つがなくなれば、「警告信号としてのアトピー性皮膚炎」は当然のごとく必要がないため自然に消退していく、乳幼児・幼児の免疫力は大人に比べれば半分以下である。ありとあらゆる細菌、ウイルスと毎日戦って「免疫力」のステージアップをはかり成長していくものなのである。

したがって免疫の学習期を終え小学校五~六年生の落ち着いた身体、つまり免疫力がある程度備わった身体になるまで細菌、ウイルス等に感染するたびに何百回と「熱」を出し、その度に免疫力のアップをはかっている、つまりこれが「免疫」の学習である。

以上のことからも分かるように、そもそもアトピー性皮膚炎とは決して難治性疾患として発病したわけではなく、人間として誕生し成長していく過程では、まだ免疫力が低いためさまざまな雑菌に冒され、乳児性・脂漏性湿疹として出ているだけなのである。