アトピー性皮膚炎自然療法

温泉湯治の歴史とその効果

日本は世界有数の火山国であり、世界中に散在する全泉質の温泉を保有している。温泉の効果効能は医学的にも認められており、さまざまな泉質の中で、その泉質特有の効果効能が認められる疾患は数多い。癌や生活習慣病またアトピー性皮膚炎、リウマチ、膠原病などのアレルギー疾患に対する顕著な回復例も報告されている。癌が温泉で治ったなどの報告も多くあるが、それらは驚くには値しない。結果的に免疫力を下げる放射線、抗ガン剤治療を加減し、人間の生体防御機能を抑え込む過剰な薬物投与を控え自然療法を実践すれば、人間の持つ免疫力は徐々に強くなり癌細胞を駆逐するなど、いとも簡単にやってのけるのである。

福岡県の原鶴温泉にある日本オムバスの「九州ホスメック・リカバリーセンター」では、アトピー性皮膚炎等アレルギー疾患の皆さんの、短期・長期の滞在型温泉湯治施設として好評を博している。

また、北海道摩周温泉のオムバス摩周温泉湯治場、フォレスト・イン摩周苑ではマイナスイオンあふれる大自然の中で・森林自然浴、天然温泉浴、自然食養生と、癌患者の術後のリハビリ、再発予防、体力増強に短期・長期滞在し、学習養生を行なうこともできる。

21世紀の高齢者社会にあって、破綻寸前の医療費削減のためにも、このような温泉湯治施設の重要性がもっと指摘されて良いのではないだろうか。「自然療法」では、単に自宅のお風呂で、また温泉湯治場で湯治を行ない、規則正しい生活習慣ができるような身体にするまでの「養生学」をカウンセリングを通じて学習するのである。そしてこの「自然療法」は、決して真新しいものではなく、すでに日本においては1500年以上も前から存在している。

江戸時代初期には、後藤艮山という医師が庶民に対して「温泉湯治」を説いている。「浴すれば腸内やわらぎ、積気もくつろぎ、食進み出れば治るなり」と、一般の庶民に対して湯治の効果を説いたのは記録によると彼が最初である。

また江戸時代後期に入ると、拓殖龍州という医師が湯治による効果をあげ、盛んにその手法を説きすすめている。明治時代に入るとドイツからやってきたベルツ博士が、草津温泉をはじめとする全国の温泉を調べ、湯治によってあらゆる病いを癒すという手法およびその効果を伝授している。現在でも草津温泉に行けば、ベルツ博士の功績を称える銅像やさまざまな記録を見ることができる。

彼は当時、日本医学校(現・東大医学部)で教鞭をとり、「日本鉱泉論」を著してもいる。また18世紀のオランダの医学者ブルーハフェは頭寒足熱の健康法を説き、「頭を涼しくして、身体を窮屈にしないで足を温めよ。そうすればおまえは医師をあざ笑うことになるだろう」という名言を残している。このように外国でも、また日本において、温泉湯治の歴史は古いのである。

しかし、その後西洋医学の流入により、それまでの温泉湯治療法がいつの間にか薬物中心主義の医療にとって代わり、それが現代へと受け継がれている。このような薬物妄信時代は、明治・大正・昭和そして平成とすでに140年間続いたが。今その全盛を過ぎ、人々は真の医療のあり方を追求し始めたようだ。薬物依存治療の流入元である西欧諸国やアメリカにおいても、薬物崇拝主義が見直され、さまざまな健康食品指向、さらに日常生活改善指向へと変化してきている。

21世紀の超高齢化社会に求められる、人々の健康を守る真の医療は、薬物依存ではなく、「自然治癒依存」の医療がその大前提でなければならない。そのためには、「健康観」を考察することが大切である。医大においては癒しの基本である自然治癒を助長させるための医学を根本から教え直さねばならない。

そして医療行政の改革、医療保険制度の改革、特に薬物の売上に依存する出来高払いの診療報酬制度ではなく、医の原点に戻ったもの、すなわち「カウンセリング」に対し何らかの形で診療報酬が見込めるような、抜本的な改革が必要なのである。

このことは一見難しいことのようであるが決して実現不可能ではない。過去140年間、人々は病気を治すその治療に、ありとあらゆる薬物の副作用とその実態をみてきている。他に病気を治す安全な手法があれば、身体に危険な薬物医療をわざわざ受けるはずがない。また医療に携わる者も、それなりに収入の道が確保されれば、身体のためによくない、また病気を治すことには繋がらない「薬物」の乱用、乱売することはなくなるであろう。

輝ける21世紀のQOLのために、是非「真の医療」を確立させたいものである。そのためにも「自分の健康は自分で守る」という意識の改革が大切になってくるのである。