アトピー性皮膚炎自然療法

アトピー性皮膚炎治療の問題点~薬物使用の対症療法

現代のアトピー性皮膚炎治療のどこが問題なのだろうか。最近では、「薬物の投与を極力控え、自然治癒力を活性化させて治す」という医師が増えてはきたが、それでも結局、治療の主流は相変わらずステロイドである場合が多いようだ。

私は1990年に出版した『アトピー性皮膚炎はこうして治す』『アトピー性皮膚炎は温泉で治る』(現代書林刊)で、アトピー性皮膚炎、喘息、リウマチ、膠原病など、アレルギー疾患者には自律神経失調が関与している発表した。したがって「それらの疾患者の身体から、代表的な自覚症状である手・足・身体の『極度の冷え』、手足が冷たくて夜も眠れない、夏でも寒い寒いとカイロを抱いているような異常状態、また、異常な倦怠感、違和感、肩・首・背中のこり、便秘、下痢、汗が出ない、異常な多汗、生理不順、生理の停止等々の自律神経失調症の症状を改善することができるような『治療法』を施せば、アレルギーの症状は自然に消退する」と説いた。

そしてそれらの「説」は今日間違っていないことが証明された。人の身体は自律神経失調の症状が強くなれば必ず免疫力は低下する。

免疫力が低下すると身体の防衛を目的に、抗原抗体反応(免疫システム)がズレた働き(Ⅰ型アレルギー=アトピー性皮膚炎、喘息、鼻炎、花粉症、蕁麻疹など)をするか、自己免疫(Ⅱ型アレルギー=リウマチ、突発性血性板減少性紫斑病、形アレルギー=膠原病、急性腎炎などの自分の身体を自分で攻撃するという状態)に陥るかのどちらかの病状が現れる。

私達の体は、常に危険にさらされている、空気中にはさまざまな雑菌が浮遊し、食物にも多少なりとも「病原菌」や「細菌」などが付着している、身体にとって有害な物質(化学物質など)はあらゆる経過をたどって体内に運ばれてくる。

そうした病原菌や細菌、有害な物質などの影響を常に受けているにもかかわらず、私たちは四六時中病気になっているわけではない。それは人間の身体が外敵から身を守るための機能を生まれながらにして備えており、それらが体内に侵入してきた場合「抗体」などをつくって退治する防御・防衛システムを持っているからである。

つまり人間は常に一定の状態で、健康であることを保つホメオスターシス(恒常性維持)が働き身体は防衛システムで守られている。

しかし、ホメオスターシス、免疫システムは常時最強であるとはいえない。ある時は強く、そしてある時は弱くなり、その人の日常生活の善し悪しによって「免疫力」つまり「生命力」には毎日強弱の差が生じている。

その免疫力の弱体化が「抵抗力」のない身体であり、さまざまな細菌やウイルスの侵略を許すことによって人々は病体に陥るのである。

最近騒がれている「感染症」の問題であるが、感染者はありとあらゆる薬物治療で、免疫力が極端に低下しているお年寄りや、ある慢性病で常に薬物を常用していたり、手術後で免疫力が低くまだ回復していない人々、(子供も含めて)また不規則な食生活を含めた生活習慣により慢性的な栄養失調や疲労を蓄積し、免疫力・抵抗力が極端に落ちている人々である。

したがって常在菌といわれる単なる雑菌(O-157、黄色ぶどう球菌、「MRSAメチシリン耐性黄色ぶどう球菌」レジオネラ菌等)にも簡単に感染してしまう。

決して「食事」が悪かった、「設備」が悪かった、機器(24時間風呂)温泉場、に問題があったのではなく、その感染した患者の体に問題(極度の免疫力低下)があったのである。なぜならば、普通の免疫力を持ち合わせている人々は子供であっても、またお年寄りであっても感染しないし、また感染していないからである。

このように、人間の生命維持に一番大切な働きを行なう「免疫システム」に、機能の低下が起こる事態が発生することがある。つまり外敵と闘う戦力の低下が起こり敵・味方の区別がつかない状態で味方を攻撃したり、まったく関係のないものを攻撃してしまう。ズレた攻撃、狂った攻撃がそれなのである。

アレルギー疾患のⅠ型であるアトピー性皮膚炎・喘息などは、自分の身体に無害なものを「有害」であると錯覚し、ズレた過剰な攻撃をしかけている代表例である。

また、Ⅱ型のリウマチ、Ⅲ型の膠原病などは、自己免疫疾患であり自分の(蛋白質や細胞等)を攻撃するという皮肉な結果をもたらす、このようにズレた働きがもとで、アトピー性皮膚炎の症状は現れる。

そして、卵、牛乳、大豆という三大アレルゲンから始まり、あらゆる食べ物、ハウスダスト、ダニ、花粉などの人体にとって無害な物質「アレルゲン」を有害だと判断し、抗体をつくって攻撃をしかけてしまうという、まったく困った状態が続くことになるのである。