アトピー性皮膚炎自然療法

離脱症状の真実

以前ある新聞にステロイドの離脱に関する記事が掲載されていた。その内容は、「ステロイド剤を急に中止するのはよくない。急に中止するとリバウンド(離脱症状)が現れることになり、現在、アトピー皮膚炎の患者の中でリバウンド被害が深刻化して、学校、仕事に支障をきたし、それらは今、社会問題に発展している」というものであり、ステロイド剤を中止するよう説いている民間医療法、漢方医そして一部の医師たちをけしからん、と非難しているものであった。

これは、まったくもって本末転倒でありステロイド剤を使用してきた医師たちの、責任逃れのための「口実」である。ステロイド剤は、副腎に対して麻薬と同じような働きをしている。例えば、麻薬の常習者が、麻薬を断とうと思った時に、それを少しずつ減量しながら断つことが可能だろうか、答えはノーである。

一度麻薬に依存した身体は、体内に少量の麻薬が入っただけでも依存状態を継続し、中枢神経のマヒ状態も続くことになるからで、ステロイド剤にもこれとまったく同じことがいえる、一度体外からの薬物に依存した副腎機能を、少量ずつ減量しながらの薬物使用で回復させることは難しい。

使用期間がごく短く依存状態に陥っていないのであれば別であるが、長期使用者で皮膚に明らかにステロイド剤の副作用の状態が認められる人については不可能である。麻薬の長期使用者に麻薬を断たせるための方法は、苦しい禁断症状を身体に経験させ「離脱」を促進させることだけである。同様にステロイド剤から離脱するためにも、苦しいステロイド剤の「禁断症状」つまり「離脱症状」が不可欠なのである。

実際、長期ステロイド剤の使用者で、少量ずつ減量しながらステロイド剤を断つことができたケースは今まで聞いたことも見たこともない。逆に医師から「減量しながら弱いものに変えて使い続ければステロイド剤をやめることができる」と指示されたが、結局どの段階でも使用を中止すればもとの状態に戻ってしまったという患者を数多く見てきた。

そして、少しずつ減量している患者が一時的に完全に使用を止めたり、また精神的、身体的、負荷の増大によってその症状が悪化した際に医師が言うことは、「この状態ではどうしようもないから一旦、強いステロイドを使って一次的に症状を抑え、そこからまた減らしていきましょう」である。

場合によっては入院させて強引に離脱を行い、大方ステロイド離脱がおさまった時期、つまり身体から薬物が抜け出た頃、これでまたしばらくステロイドが使えるといって投与している。このような現状を新聞に意見を述べていた医師たちはどのようにみているのであろうか。

彼らがこういった現状を知らないとは思えない。なぜなら彼らの病院で治療を受けステロイドの減量に失敗した大勢の患者が、真の治療法を求めて右往左往しているではないか、すべての医師がここにあるような意見に賛同しているとは思えない。

現在離脱症状を理解しステロイドを控える良心的な病院・クリニックが以前より増えてきているのは事実であり、その数は約40%近くに達する。本来その残り60%の医師達もステロイドの副作用は良く理解しているしまた離脱療法についても良く理解しているのである。

しかしステロイド剤の「顕著な症状の改善」に対する未練やステロイド治療中止による売上の減少、そして中止することにより患者に現れる離脱症状などの問題が生じるため、治療法の転換ができない状態なのであろう。しかし「信頼ある医師」として何としても「良心」に目覚めてほしい、そして患者サイドに立った治療を施し、これ以上障害者を出すことにつながる「免疫抑制剤・ステロイド治療」に頼ることだけは止めて欲しいものだ。

非ステロイド系の軟膏・抗炎症剤・抗アレルギー・抗ヒスタミン剤などの使用で時間はかかるが、充分「完治状態」まで導けるからである。患者の生活指導については、マニュアルを渡し適時来院させ、的確な治療と患者に合わせた指導を行なえば良い、これらは「原因療法」につながり従来の症状を抑えるのみの治療とは違い、確実に「回復」へ向かい、また「売上」は逆に増えるはずである。

このような治療を行なえば患者は確実に現代医療に戻り民間療法などには走るものはいなくなるはずである。これこそが本来のアトピー性皮膚炎治療界の「真の姿」ではないだろうか。

つまるところ、現在のような状況は、免疫抑制剤ステロイドの治療を「信奉」する、ごく一部の医師たち特に製薬会社と深い関係にあり学会のリーダー的な存在の医師達によって「つくられた」といっても過言ではないだろう。

もしステロイド剤を使用してさえいなければ患者が離脱やリバウンドを経験することはなかったのだし、たとえアトピー性皮膚炎自体が改善することはなくても、「ステロイド皮膚症」や二次、三次疾患の出現による「感染症」そして副作用による取り返しにきかない「障害者」になることはなかったはず、逆にいえば医師の「指示通り」ステロイド剤を使い続けたからこそ、離脱症状が現れるはめになったのだし、人によっては失明するはめにもなったのである。

再三触れてきたように、継続して使用してきたステロイド剤を断つことでアトピー性皮膚炎患者に現れる増悪した皮疹を、現代医学は基本的に症状の「悪化」であると判断している。しかし問題は、ステロイド使用中の身体のみが「治っている状態」であって、投与を中止することによって現れる疾患が「悪化」であると判断しているところにある。

大半の医師はアトピー性皮膚炎は難病であり、この病気は生涯ステロイドで症状を抑えて上手にコントロールして行くしかないという、したがって、そのステロイドの使用を止めれば当然病状は悪化の一途をたどることになるというのである。

こうして現代医療の現場では、ステロイドは過去50年間アトピー性皮膚炎を治す薬として使用されてきた。そのため「ステロイドを断つこと=症状の悪化」という考え方が、広く定着してしまったのである。

あくまで一時的な急場しのぎとして使用されるはずであった薬物が、常用薬としてその病気を「治す薬」にすり変わってしまった結果が悲劇を招いてしまったのである。医療の基本である原因療法を捨て、ステロイド投与による利益優先で三分診療の「対症療法」に走り、まったく的はずれの治療法を確立してしまったアトピー性皮膚炎治療界の罪は重い。