アトピー性皮膚炎自然療法

ステロイドの副作用

あるステロイド剤の臨床試験機期間は、わずか3ヶ月であったそうだ。そのわずか3ヶ月の臨床試験で得られたデータが、以来50年間に全国ですでに大変な数の若い人々の「重篤な副作用患者」を出現させている。しかしこれらの事実に医療関係者は一切触れないし、また真実を「公」にしていない。

そしてステロイドの副作用を語り、その是非を問う良心的な医師の声は内部の圧力もあって年々小さくなる一方で、これはマスコミ界も同様である。このようにステロイドの副作用を語ることは、医療界では一種タブー視されているのが現実のようだ。2000年あたりから医師であっても従来のように免疫抑制剤・ステロイドを批判しその副作用を論じる者に厳しく圧力をかけ制限しているようである。

このようにステロイドはすでに使用され始めてから50年以上を経過しているが、現在では25年~30年という長期常用者の多くがさまざまな医原性の疾患に陥っている。白内障、緑内障、網膜剥離などで失明または弱視、多臓器不全状態、副腎萎縮または不全状態、肝機能、腎機能低下、精神障害者、重度の自律神経機能低下と正常な人々の方が少ないといえる。

また長期使用による重症患者の子供たちには先天性の疾患者が認められることもるが、これらも免疫抑制剤ステロイドとの因果関係は立証されていないという。

多くの副作用の中でも取り返しのきかないのが「眼障害」である。私はステロイド常用者に、長い間多量に使い続けると「眼障害」が現れ失明する恐れがあるといって忠告するが、医師の指導のもと上手に使えば心配ないという言葉を信じ、常用している人々が多い。

弱視、失明の状態に陥ってそれらを理解しても時既に遅しとなってしまう。さて眼障害の例であるが、長い間ステロイドを使い続けると徐々に眼圧が高くなり、ある日突然見ているものが霧や、もや、がかかったように薄ぼけて見えるようになってくる。症状は勉強中や仕事中など日常生活の中で現れることが多い。

急いで眼科に行くことになるが、長い間のステロイド常用者のケースでは、そのほとんどが「白内障」と診断される。そしてその後3ヶ月から6ヶ月または1年程度で、弱視あるいは失明の状態に陥る人もいる。中には水晶体の周囲に炎症が起きているにもかかわらず眼科でさらにステロイドの点眼薬、飲み薬を処方され、それらを使用する人もいる。

それもやはりアレルギー反応や炎症、組織の腫れをとるために処方するからで、このようにステロイドを点眼、服用し2~3日も経過しないうちに更に視力低下を訴える人が数多くいるのには驚く、もともともうこれ以上身体にステロイドを「入れてはいけない」「入れられない」という警告信号が出ているにも拘わらず投与するわけであるからあまりにも危険すぎる。逆に白内障の軽い時期つまり初期症状の時期にステロイドを断ち、的確な措置を施せば水晶体の濁りが消退する可能性は充分にある。

白内障の次に多いのは「網膜剥離」である。学名は「裂孔原生網膜剥離」というが、網膜に裂け目ができ眼球内にある液体が、この裂け目から網膜下に入り込み網膜がはがれる。

光を感じる能力が低下するため視野欠損が生じ、ある部分が黒くなって見えなくなるというものである。ボクシングの選手のように打撲などを起因とする外傷性のものもあるが、アトピー性皮膚炎の患者の場合には、痒みのために顔を叩くことが起因のひとつとなっている。

現在では少なくなったが以前は「絶対掻くな、掻くからアトピー性皮膚炎がどんどんひどくなるんだ」と叩くことを容認するような間違った指導を医者がおこなってきたために大変な数の患者が顔を叩き網膜剥離で手術不可能のダメージを受け、失明または失明の危機に瀕しているのである。

また、網膜剥離の初期には特異な症状が出る。見ている視野に黒点が現れ、ちょうど蚊や何か物体が飛んでいるように見える。思わず手で払いのけようとしても消えることがない。これらの症状は「飛蚊症」と呼ばれ網膜剥離の典型的な初期症状である。また視野が一部黒く欠損することもある。このような状態で放置しておくと症状の回復はますます難しくなってくる。

現在このような眼障害が急増の一途をたどっている。アトピー性皮膚炎疾患者においてはそれがステロイドの副作用であることはまず間違いないであろう。医師も仲間うちでは副作用であることを「本音」ではっきりと話しているが、公の場の発言となると、その言動を変貌させる。「医師会」も「行政」も「薬品業界」も「現段階では因果関係が立証できない、」と口を揃えて否定するのが現状のようだ。ステロイド剤の副作用としての眼障害が臨床で明らかにされているにも関わらずこのような状況である。

全国アトピー友の会の会員の中でもかなりの人々に白内障、緑内障、網膜剥離などの症状が認められ、彼らは弱視、失明、視野狭窄という障害を受け病み続けている。また白内障による弱視、失明などに伴う「眼内レンズ」挿入手術についての相談が相次いでいる。既に眼内レンズ挿入手術を行なった友の会の会員に詳しい事情を聞き、彼らは「手術」の決心をしているようである。

相談に訪れる人々の90%は、まだ10代~20代の若い人たちである。小学生で、すでに弱視の症状に陥り生活に支障をきたしている子もいる。現在日本における白内障患者の手術例は年間40数万人と聞いている。しかし老人性白内障患者の手術例がそのほとんどであるというが、10代、20代のステロイド性白内障の内訳を掌握しているにもかかわらず報告されていないのである。

全体の8割が老人性としても残り2割で8万人である。少なくても8~10万人の若い人々が、毎年ステロイド性白内障で弱視また失明していることになる。しかし医者は「アトピー性白内障」であり決してステロイドの副作用で発症したものであるとは言わない。

ある眼科の医師の話であるが、白内障で来院した患者にステロイド治療を行なった皮膚科に文句を言いに行きなさいと話したところ後日、皮膚科の医師数人にどなりこまれ、その後は恐くて一切余計なことは言わないことにしていると語っていた。

しかし、厚生労働省も医師会も薬品業界もこのような副作用による「医原性の疾患」とその実態を覆い隠し、公表しょうとはしない。したがって、「免疫抑制剤」ステロイドのこのような副作用の実態を世間の人々は知る術がないのである。患者は何も知らされていない、塗ればたちまちのうちに痒み・炎症が治り快適な生活ができる。第一信頼する医者がくれる薬がそんな悪いものであるはずがないし、副作用などがあるはずもない・・・・・。患者は心の底から医者を信じ切っているのである。

こうして彼らはステロイド依存状態を続け病気を治すために施したはずの治療が原因で、徐々に体の異常状態が進み取り返しのきかない道のりを辿っていくことになってしまう。長期間にわたるステロイド処方(軟膏塗布・注射・服用)によって免疫機能の低下に陥り次に引き起こされる感染症に対処するため、抗菌剤・抗炎症剤・抗生物質と薬物投与はさらにエスカレートしていき「薬物漬け」の人間ができ上がっていく。

このような患者の全身の皮膚は異常である。赤黄色が赤黒色、また死人を思わせる、色あせた不気味な色、そして皮下からブツブツやデコボコしたおでき状の症状が浮き出している。日中は代謝異常で汗が出ず逆に朝起きると寝汗でびっしょりと濡れ、蒲団をめくればその下に汗水が溜まっている。尿は少なく、便秘の状態は強く、手足の冷えの強い症状、微熱・高熱は続き、首や肩こりがひどく倦怠感が強いなど副腎機能、腎機能、肝機能、ホルモン産生・分泌機能が低下し非常に危険な状態である。

ステロイド依存状態に陥り1日10mg~20mgとその多用が続けば、このような症状に変化するのに早い人で2~3年、遅い人で7~8年とかからない。また、「眼障害」は1年足らずで発症している人が実際にいるのである。

しかしこの時点では、患者はまだ自分の症状が「最悪の状態」に来ていることに気が付いていない。免疫抑制剤、プロトピック軟膏、ステロイド、プレドニン、セレスタミンなど常用する薬の作用で本来の増悪した症状が抑えられ黒ずんだ皮膚で一見普通の人のように見えるからである。つまりこれらの症状が現在のアトピー皮膚炎治療界でいう「大変良好な身体の状態」であり「治っている状態」なのである。

ステロイド剤は、アトピー性皮膚炎の医療に対して他にも大きな問題点をいくつか抱えている。第一に、痒み・炎症という症状を一時的に抑えることから患者にアトピー性皮膚炎が良くなったと錯覚させ身体の異常状態を改善するという、患者にとって必要な身体の改善に目を向けさせなくなる「効果」があげられる。

アトピー性皮膚炎とは、本来身体の異常状態を現す警告信号的要素が強いもので、したがって、アトピー性皮膚炎を必要とした体の異常状態が改善されない限り、身体はいつまでたっても「痒み」を生じさせようとする。そして薬剤の効果がなくなれば再び痒みや炎症が発生し、患者が薬物依存の輪に入り込むことになる。さらにもっと怖いのは、同時に身体の異常状態も進行してしまうことである。

いずれ警告ができないほどに身体の異常状態が進行し、明らかに内蔵機能障害が強くなればアトピー性皮膚炎そのものはおそらく消退するであろう。しかし、そうなってしまってからでは遅いし身体が何のために一生懸命警告を発し続けたのか、まったく意味がない。

またステロイド剤の治療中には皮膚の改善ばかり目が向けられ、その原因に対する治療は行なわれないのが普通であり、したがっていつまで経ってもアトピー性皮膚炎そのものは発症し続けることになる。このように、ステロイド剤を使用したばかりに本当に治さなければならないところを治せない状況に陥ってしまうのである。

次の問題は、免疫抑制剤・ステロイド剤が副腎のホルモン産生・分泌機能に異常を生じさせるということである。アトピー性皮膚炎の原因の一つには、この副腎のホルモン産生・分泌の異常状態というものもある。もともと、まったく他の原因で発病したアトピー性皮膚炎にもかかわらずステロイド剤の長期連用がホルモン産生・分泌機能に異常をきたし、難治性アトピー性皮膚炎を作ってしまう。

その病気の治療目的で使用したものが、その病気をさらに悪くしてしまうという、何とも皮肉な結果になっているのである。このように、ステロイド剤の長期連用は同時にそのアトピー性皮膚炎難治化の原因となるだけでなく、まったく別の疾患である「ステロイド皮膚症」を生じさせる。

このステロイド皮膚症はアトピー性皮膚炎のように身体が能動的に症状を出しているのと違い、ホルモンの異常からくるものであるために長い治療期間を必要としてしまう。現在のアトピー性皮膚炎の重症患者は実はアトピー性皮膚炎が悪化したのではなく、新たな「ステロイド皮膚症」という別の疾患に移行したものであるといえる。

このこと自体は別に目新しいことでも何でもなくステロイド剤を製造している製薬会社でも充分理解している。なぜならステロイド剤に添付される説明書には、依存症により生じる症状についての表記がなされているからである。しかしその実態については、医師も製薬会社も公にはしないし、認めようともしない。一番の被害を被るのは、結局患者自身である。