アトピー性皮膚炎自然療法

戦いで勝ち取った「完治」それは正常な免疫機能を備えた身体

さてアトピー性皮膚炎が「完治する」という状態は、正常な免疫機能が作用する身体になることである。血液検査では、lgE、好酸球、ACTHなどがほぼ正常値を示し、炎症や痒みは一切認められない。自覚症状としても生活に差し障りのない、またありとあらゆる薬物、保湿剤、クリームなどを一切使用しないでも自分に必要な脂分をまかなえる状態で、さらに肌もツルツルスベスベで身体は常に温かく、便秘、手足の冷えは消退し、自律神経失調の症状は認められない、つまり本来の人間の肌にふさわしい赤みをおびたピンク色の肌になることである。

医学的にみれば、抗原抗体反応、免疫システムのズレた働きが正され、正常な免疫機能が作用する身体に戻ったということになる。もともと自然療法を実践する患者は、最初からステロイドの使用を断ち、湯治中も使用をしていないわけだから治った時点で湯治をやめても、彼らに「リバウンド」と呼ばれる離脱症状が出ることはありえない。

また、患者は湯治中、食事制限もハウスダストやダニ等のアレルゲン除去という手法も使っていない。しかし何を食べようが、どのような家に住んでいようが、それらのアレルゲンに一切反応しない身体に変わってしまったということなのである。

ここで以前の状態をふり返ってみるとステロイドの常用を断ったり湯治を開始した時点では、外からのステロイド投与がないため一時的に血中の副腎皮質ホルモンの総量が減り、欠乏症となっていた。副腎が身体に必要なそれらのホルモンを産生しない限り、免疫のズレた働きはいつまでも続くことになり、ゆえに食物、ハウスダスト、ダニなどに反応するといったつらい症状が出ていたわけである。

さらに薬物の使用により、身体の免疫力が抑えられ自然治癒力は活性化できない状態におかれていた。しかしそれらの中止で身体の治癒系の働きが顕著になり体内の異物である薬物や老廃物の排泄が一時的に盛んに行なわれ、それがリバウンドという症状として現れていたということである。

免疫システムについていえば、特定の食物であろうとハウスダストであろうとダニの死骸であろうと、以前はそれらを自分の身体にとって敵であると判断し免疫システムを作動させ、抗体をつくって攻撃を仕掛けていたわけで、言い換えればTリンパ球はすでにこういったものを「記憶」しており、その結果次から次へとアレルゲンが体内に入ってくるたびに自動的に準備している抗体を送って闘い続けていた、しかしアトピー性皮膚炎の症状が消退したということは、これらのズレた、間違った免疫システムの働きが正常な免疫システムに戻った、つまり「治った」ということを示している。

すなわち、Tリンパ球が、卵やハウスダストを自分の身体にとって敵であると判断し、いったんは免疫を作動させたが、それは「誤りであった」として以前の記憶を取り消したということである。これは医学的にも大変興味のあることで、世界的に一つの素晴らしい「大発見」だといっても過言ではない。

私は講演会で、この件について医師から度々質問を受けることがある。彼らの質問は、「いったんTリンパ球が敵であると判断し、免疫が働いたのであるから、いつまでもそれらのアレルゲンに反応することはあっても、それらがおさまることはないのではないか」というものである。しかし、現に取り消したから、そのような症状が出ない身体になったのである。

このことは血液検査の結果において、すべてが正常で異常な数値が認められないことから立証できる。また「免疫システムは一つの学習反応である。したがって間違って作用したものはあとで取り消す、もしくは過剰な免疫を抑制する働きがバランスを取り戻してくれるのだ」私はその時こう答えた。

後に、アメリカのホリスティック医学界の第一人者である医学博士アンドリュー・ワイル氏とこの件で話し会ったが、博士もまったく同じ意見をお持ちであった。

さて、これまで述べてきたことからみていくと、世界中のアトピー性皮膚炎治療で、完治、根治までフォローできるカウンセリングシステムや治療法がまったく確立されていないことがお分かり頂いたと思う、自然療法らしきものはいくらか存在するが、あくまでも健康食品等の「もの」を飲むまたは食することで身体を治すという方法でありアトピー性皮膚炎を完治に導くことから考えると、まだ程遠いものがある。

私は20年間「医」に対する常識を説いてきた、そしてそこに病を癒す「術」があった、自然療法は、患者本人があまりにも劇的に治すことができる。そのためインパクトが強すぎ、ステロイドで症状をコントロールするのみの現代医療にとっては、「驚異」であり、彼らの治療に与えるダメージは強いものがある。

薬物に頼らず病気を治したいという患者であれば、自然治癒力というものは決して人を選ばない。「病気」を治すための「必要条件」をしっかりと学習し生活の中に取り入れさえすれば、どのような疾患でも治し方は同じである。その回復期間は自らが選択できるほど確実なのである。

さて、自然療法を実践してアトピー性皮膚炎を完治・根治させた患者の中には、治った後や治っていく経過で、ステロイド治療を受けていた頃の病院の医師を訪ねる人がいる。中には、長年の病院通いで家族全員が医師と親戚付き合いの状態にある人や医療関係者が家族・親戚にいる人も実際に数多い。従ってそのような会員は、2~3ヶ月に1回、回復状態を見せに行く、また通いつけの医師の方から、温泉湯治をするのであれば2~3ヶ月に1度来院し、是非身体を見せて欲しいといわれる人もいる。

今まで「アトピー皮膚炎はステロイドで症状を抑えコントロールしていくしかない」「治らない」と言っていた「自然療法」否定の主治医も、患者の痒みや炎症のない「薬物を使わないで綺麗になっていく身体」「綺麗になった身体」を診ることで自然治癒力の大切さや本来の医療というものに気付いたようである。

さらにいえば、自然療法を実践するアトピー性皮膚炎患者は、医学の知識の少ない素人ばかりではない。その道のプロフェッショナルである医師自身も例外ではなく、それも皮膚科の開業医、また勤務医、他の科の専門医、薬剤師、看護婦等と、医療関係者で自然療法を実践している人、また既に実践して改善した人々は数千人に達する。製薬会社の役員の子弟や社員、厚生労働省の職員、その子弟もその関係者も皆、難病アトピー性皮膚炎に病んで来訪し現実に自然療法で克復している。

当時中学生,高校生、医大生のアトピーに悩んだ会員が現在国立大学の病院の医者であったり、開業医であったり弁護士であったりと克復後成功している人々の姿をみるのは喜ばしいことである。自然療法にすべてをかけ励んだ結果、回復期間に差はあっても彼らは痒みのない体になってしまっているのである。

早かれ遅かれいずれそれらの人々の「声」でアトピー性皮膚炎の治療法が変わっていくことは間違いない。ステロイド剤に依存しない治療法こそが、本来の医療のあり方だということを世の人々が理解する日は近い。

講演会などで「一度きれいなったら二度とアトピー性皮膚炎にならないんですか」という質問を受けることが度々ある。結論を先にいえば「再発させないこと」は可能であるが、「再発しない」とは断言できない。なぜなら、アトピー性皮膚炎とは、身体の状態に合わせて出てくる一つの警告信号でありアトピー性皮膚炎が完治した状態とは、皮膚がきれいになることはもちろん、身体に生じていた自律神経の失調をはじめとする「異常状態」が改善されたということでもある。

完治した後、再び身体に自律神経失調の症状を生じさせるような生活、睡眠不足、食生活の乱れ、運動不足、ストレスをためる、疲れをためる、湯治しないなどの悪い生活が継続した場合アトピー性皮膚炎が再発しても何ら不思議ではない。アトピー性皮膚炎の痒みや炎症自体は病気ではなく身体の異常状態から生じる結果であり、したがって再発するかどうかは、患者自身のその後の生活にかかっているということである。

仮に、皮膚にわずかでも「肌荒れ」「炎症」と異常な状態が現れてきた場合には、すぐに現在の生活チェックを行なえばよい。アトピー性皮膚炎の患者は、身体の異常状態の蓄積を現す「力」を持っているのであるから、健康体を維持していく上での一つのサイン、つまり警告信号としてそれを上手に「利用」すれば良い。

症状が現れた初期の時点では、身体の疲れ、睡眠不足、湯治不足、食事の偏り、運動不足、加重にかかるストレスなどの思いあたる点を改善すれば2~3日から1週間程度で異常状態は消退することになる。アトピー皮膚炎はこのように「再発しない」ものでなく「再発させない」ものである。

この再発させない生活とは何も難しいことではない。その日に生じた身体に対する負荷をその日のうちに処理・消化し、身体にそれらが継続的に蓄積することを避ければ良いだけである。私は、温泉湯治などの自然療法を行ない、アトピー性皮膚炎を克服した人々に「常に健康体でいるための生活五箇条」を渡している。

これらは、アトピー性皮膚炎を再発させないためだけにある生活五箇条ではなく、生活習慣病を始めとする将来的な疾患への予防にもつながる。そこには食事、運動、湯治、睡眠、ものの考え方について身体の負荷の蓄積を避ける生活を実行し「病気=医者」という考え方ではなく、自分の身体はまず自分で守っていこうという内容が記されている。

つまりアトピー性皮膚炎を再発させるかどうかは患者自身で「決めることができる」ということである。