アトピー性皮膚炎自然療法

免疫抑制剤・ステロイドの使用と目的

このように「ズレ」て働くような免疫システムならば、その免疫を少し低下させて、あまり働かないように押さえ込んでみたらどうだろうか、発想として最初はこんなものだったのかもしれない。

確かに免疫を押さえ込むことによってアトピー性皮膚炎の症状はピタリとおさまってしまう。こうしてステロイド剤(免疫抑制剤)はアトピー性皮膚炎により生じた「痒み」「炎症」を治療する目的で開発、使用されるようになった。その効果があまりにも顕著であるために、長期連用することによって、その効果の何百倍の副作用によるダメージを受けることなど計算外だったのだろう。また3年~5年という長い年月の臨床試験を行なわなかったのも事実である。

しかし、免疫を抑制し低下させることにより「痒み」を抑えることは可能になりその目的は達したが、これらの薬剤は、免疫が異常をきたした原因については何ら治療することができない。ステロイド剤が、「原因療法(病気を原因から治す治療法)」ではなく「対症療法(病気より生じた症状を抑える方法)」といわれる所以がここにある。

日本においても現在さかんに臓器移植手術が行なわれるようになったが、「臓器移植」の最大の問題点は、「拒絶反応」である。

人間の身体を守っている「免疫機能」は移植によって体内に入ってくる他人の臓器を「非自己」つまり異物であると認識する、したがって当然それらを排除しょうとする力が働くことにより、放っておけば免疫が攻撃をしかけてしまう。

そして拒絶反応が起こり、手術は成功しても患者は死亡することが多かったのである。

そこで開発されたのが「免疫抑制剤」であり、免疫を抑え込み、働きを低下させることで拒絶反応を抑え、生命維持をはかるのである。

しかし残念なことに、一回の投与で拒絶反応がおさまればよいのだが、そうはいかない、現状では、移植患者はこの免疫抑制剤を一生使い続けなければ生命を維持することができないのである。そのために、免疫力低下によってさまざまな「感染症」を併発することになってしまうのである。

人の身体は、非自己を自己として認知することは出来ない、異物はあくまで異物と判断する。これは本来人間の持つ正常な免疫作用である。

したがって術後、体力がつき健康体に戻れば戻るほど拒絶反応は強くなる。
しかしそうなれば生命維持が困難になってしまう。

したがって、拒絶反応が起きる度に、また起きないように常に免疫抑制剤を使用して生きていくことになるのである。

アトピー性皮膚炎の場合も、ズレた過剰な働きをする「免疫システム」を免疫抑制剤ステロイド使用により、その機能を徐々に低下させ、機能低下が確実になった段階でピタリと症状を消退させてしまう。

このためステロイド剤はアトピー性皮膚炎の特効薬として「認知」を得ることになった。実に素晴らしい効き目の強い薬物であり、たちまちのうちにその症状がおさまってしまうのだから、「魔法の薬」として拝め奉られてきても不思議ではない。

しかし残念ながら臓器移植後の拒絶反応を抑えるが如く、アトピー性皮膚炎においても、この薬物の継続的投与(常用)が欠かせないという危険性は知る由もなかったのであろう。

このようにしてステロイド剤は1950年代よりたちまち全国の医療機関で使用され始め、わが国で厚生労働省が発売を許可したのは1953年、昭和28年であった。

この時期まで老人性白内障はあったにせよ、若いアトピー性皮膚炎患者に「白内障」という眼障害者は少なかったはずである。わずか5年程度で白内障、網膜はく離で失明、弱視という薬害、副作用問題が激増し始めたのは事実である。

このように「諸刃の剣」と呼ばれたステロイドがもたらす副作用は、使用し続ける患者を確実に侵し始めた。

実際に、1970年には眼障害など、その重篤な副作用が医療界でもすでに指摘されていた。しかし残念ながら、医療界は顕著なステロイドの効果のみに眼を奪われ副作用に配慮することをしなかった。確かに良心的な医師の警告も数多くあったが結局は黙殺されたのである。

現代医学が、アトピー性皮膚炎の患者をはじめ他の疾患者に対し、人の病を癒す医療から逆に「病からの回復を長引かせる」「慢性化させる」「さらに難治化させる」そして「障害者をつくり出す」医療へ変化し、薬物至上主義の治療に陥ったのは、このステロイドの開発とその多用が原因でもある。現代医療はこのように患者にとって結果的にとんでもない過ちを冒しているようだ。

これらのステロイド剤の使用をやめない限り、永久にアトピー性皮膚炎を「治すことを手助けする治療」にはならない。なぜならば病体から健康体へ治ろう、戻そうとする治癒系の働き(自然治癒力・免疫力向上)を基本的に阻害し、逆にそれらの働きを抑え込む薬物療法が患者の役に立つわけがないからである。

現在世界中のアトピー性皮膚炎患者が、また慢性皮膚炎患者が、有効な治療法がなく、治らないまま相変わらず免疫抑制剤、ステロイド剤服用、ステロイド塗布を中心とした治療を行なっている。このような対症療法による治療法は現在民間療法を含め数百種類に達している。

しかし残念なことに日本中の、いや世界中のどんな治療法でもアトピー性皮膚炎の根治は難しいようだ。

ごく軽症者であれば、たまたま良くなった人はいる。しかしなぜ治ったのかが分からない。そしてなぜ治らないのか、どうしたら治るのか、世界中の医師達が分からないままでいる、なぜだろうか。

それは皮疹という身体の「部分」のみの症状に気を奪われホリスティックな観点から身体を診ないからである。患者の身体の、異常状態の改善に努めようとはしないで、皮疹を繕う修理、修復のみの薬物治療を施すことしか考えていないからである。

つまりそれらはあくまでも「対症療法」であり、その病気を治すための治療法ではないからで、したがって永久に「病気」そのものは治らない。ある治療によって皮疹は一時的に治ったようにみえても、それは完治している訳ではないから、いずれ何日もしないうちに症状が再発してくるである。

発症後間もない症状や、ごく軽症のアトピー性皮膚炎の場合には、少量でもステロイドを使用すれば次に発症してくるまでの間隔は長い。そのため、「その間は治っていた」「薬を塗って治った」と判断する。また数回のわずかな使用によって、その後まったく症状が出ないで治ってしまったという人々もいる。しかし、その場合でもステロイドがアトピー性皮膚炎を治したわけではない。たまたま身体の「異常状態」が毎日の生活の中で消退したために、アトピー性皮膚炎も消退しただけのことである。

そのような人々のアトピー性皮膚炎は、ステロイドを使用していなくても多少時間はかかったにしろ自然に消えていたはずである。

実際ステロイドを使用しなくても、自然にアトピー性皮膚炎の症状が出ない身体に変わっていく人もいる。昔から言う「大きくなれば自然にアトピー性皮膚炎は治る」が、これにあたる。現在のようにステロイドが使用されていなかった時代には、成長の過程で、そして毎日の生活の中で身体を「丈夫」にする、つまり免疫力、抵抗力を強めることができたため自分の身体で自然と消退させることも可能だったのである。

アトピー性皮膚炎患者の痒み・炎症の発症の原因は、腎臓の上にある副腎という小臓器のステロイドホルモン産生、分泌機能の低下にあるわけで毎日その人に必要なホルモンを賄いきれず、その足りない分が痒み・炎症という症状となって現れているのである。

したがって常に外からステロイドホルモンを入れてやらないと痒み・炎症は続いて、次第に症状は強くなっていく。

そのために副腎皮質ホルモン(ステロイド)を常用することになる、しかし常用が続けば続くほど副腎は外からのステロイドホルモンに頼り、その機能を低下させ仕事をしなくなり難治化を招いていくのである。

このようにステロイドを多用し、軽症から中症状に移行すると身体は「ステロイド依存症」に変化しているのでステロイド使用を中止すれば、その発症する間隔も短くなる。

しかも症状は次第に強いものになり、薬物使用の治療は一時的にその症状を抑え込む治療法であるために「完全に治る」ことはなくなる。

また血液検査などによりアレルギーを誘発する物質を特定し、そのアレルゲンを遠ざける手法もあるが、食事制限、断食、ハウスダスト、空気清浄器を使用したダニ除去室などについては、それを実行している間は症状の軽快、つまり改善が認められても止めると元の症状に戻ってしまう。そもそも長い間の食事制限や断食の生活は難しいことであるし、空気清浄器付きのダニ除去室の中で一生暮らすような生活は続けられるものではない。

仮にそのようにしたとしても、いったん外に出て普通の生活に戻れば、また症状は増悪の状態に落ち込んでしまう。

つまり対症療法を行ないながら体質を改善したり、またアトピー性皮膚炎を発症しない身体に変えていくということは難しいということである。しかし現在のアトピー性皮膚炎治療の状況をみると、医師の間ではこれらの対症療法以外のものは、ほとんど行なわれていないのが現状のようだ。少数ではあるが医師の中には、ステロイドを極力控え薬物から離脱させ治癒力を向上させて治すという治療法を行なう良心的なクリニックも存在する。

そのひとつは入浴湯治を勧めるクリニックであるが、学会の理不尽なバッシング受けている。つまり現在アトピー性皮膚炎治療界ではステロイド使用を控えた良心的な治療を行なうクリニックをやり玉にあげて、徹底排除を行なっている。