アトピー性皮膚炎自然療法

ステロイドの副作用に負けては行けない

次にアトピー性皮膚炎の薬物療法とその症状の変化について具体的に述べていこう。

初期症状の段階では、ステロイドは弱いものでも充分効き目があり、週に1回~10日に1回程度の部分的な塗布でしのいでいけるが、徐々に悪化し全身に炎症が広がって難治化してくると、それまでのステロイドでは効果が弱くなり、さらに強いものへとエスカレートしていくようになってしまう。

使用の間隔が長くなると炎症や痒みが強くなるため、より頻繁に使用することになり、この繰り返しで薬物依存型としてアトピー性皮膚炎は次第に「難治化」して行き2~3年程度で皮膚をはじめとする身体全体に副作用が認められるように変化していく。

ステロイド剤は外用(塗り薬)、内服、注射、点滴などに分けられ、アトピー性皮膚炎に最も多く使用されるものは外用である。外用のステロイド剤は、体内への吸収の度合いによって五段階(非常に強い・かなり強い・強い・普通・弱い)に分けられているが、その使用の方法については、医師の指導はあるものの、ほとんど患者まかせといってよい。

良心的な医師は、使用について細心の注意を払うよう教えてくれるが、しかし患者としては早く治りたい一心で、どうしても多用することになってしまう。一方、大半の医師は薬の説明はおろか、その使用法などについては一切指導しない。

増悪の一途をたどる患者に医師によっては、「塗る量が少ないから治らないんだ」「もっと塗れ」「全身にすりこむように塗るんだ」といっては怒る。最近では、医者よりも患者の方がステロイドの怖さをよく知っている。自分の身のまわりにも、常用による副作用の障害者が多いからである。

しかし医師たちは、上手に使えば副作用はない、私たち医師の指導のもと適確に使えば副作用はないと盛んに宣伝する。日本では、医師は古来から学識があり人の命を預かる職業として信頼され、そして尊敬され、最も地位の高い人たちであり現代でも彼らに対する尊敬と信頼は厚いものがある。「医学博士」の肩書きを持った大学教授、助教授の先生方の治療や指導を信じ、毎日せっせとステロイドを塗る患者の多いことも、また事実なのである。

ところが、免疫抑制剤・ステロイドは塗った患部にとどまることは少なく、皮下にそして血中に吸収され徐々に体内に蓄積され始めることになる。そして、それがその人の身体の「許容量」をオーバーする状態までくると突然体の弱い部分にとてつもない副作用をもたらすことになる。

次第に皮膚の三構造である表皮・真皮・皮下細胞組織は破壊され、皮膚の肥厚(カチカチ・コチコチの状態)が始まり、毛孔、脂腺、汗孔はふさがれ、皮膚呼吸のできない部位が多くなってくる。脱毛や皮脂減少、爪の変形が始まり、分泌排泄作用は妨げられ、徐々に多くの臓器に異常が発生してくるのである。

副腎は外から入ってくるステロイドに当然頼ることになり、その産生・分泌力はさらに弱まり機能低下の一途をたどり、次第に薬の強さも量もエスカレートし、症状は増悪につぐ増悪で塗り薬では抑え切れなくなり、次の段階ではセレスタミン(抗アレルギー剤と抗ヒスタミン剤をステロイドと一緒にした錠剤)、プレドニン(塗るステロイドの数百倍強い免疫抑制剤)の使用が始まる。最近では、臓器移植時の拒絶反応を抑え込む最強な免疫抑制剤、シクロスポリンの使用も多くなってきている。

シクロスポリンはノルウェーで開発されたものだが、この薬物よりさらの強い免疫抑制剤がすでに日本で開発されている、FK506の改良型がそれで効き目の強い、強力なこの免疫抑制剤プロトピック軟膏は、わずか「数ヶ月?」の臨床試験で、「副作用のない画期的な薬」として2000年3月に発売された。

「皮膚」では免疫抑制作用を起こし、体内に入ると「不活性物質」に変化するので、人体に与える「副作用」がなく「安全」ということで、ただし何故か発売当初その使用は15歳以上の患者に限るということであったが数年前から幼児への使用も認可された。

前にも述べたが長期に渡りこれらの免疫抑制剤・ステロイドホルモンが外から投与することによって、副腎はいよいよその機能を低下させ、単なる機能低下にとどまらず、萎縮が始まり「副腎不全」つまり「コルチゾール分泌不全」の状態に陥ることになってしまう。

またこのような時期になると、すでにプレドニンや免疫抑制剤シクロスポリンでも、また臓器移植の際に用いる今回販売された新薬でも効き目がない。全く抑え切れない症状、つまり多臓器不全の状態へと変化してしまっている、つまり体力の続く限りありとあらゆる薬物を投与し、痒みや炎症を抑え込み、身体にとって痒みのないわずかな日々と交換に一生取り返しのきかない障害が発症する時期がきているのである。

それらはまさに「悲劇」であり、実に悲惨である。一日中休むことなく強い痒みが襲い炎症が全身に広がり全身血だらけの状態で脱毛もひどく、掻きむしっては顔を、そして頭を叩く、中には頭を壁にぶつけてはわめき、騒ぐ人もいる。ものは投げる、まわりの人にあたり散らすなど、その行為はとどまることがない、まさに発狂寸前となり、もちろん夜も眠ることができない、悲しい事だがこのような状態でマンションから飛び降り自殺した若い女性、自室で首を吊った少年、また幼い子供たちを道ずれに一家無理心中した事件とその数は多い。

これらは家族も同様で、心配が重なり睡眠がとれるどころではなくなる。一家は日に2~3時間の睡眠で意識もうろうの状態で生きることになり、まさに家族共々生き地獄の状態である。

患者はやがて自室にこもり、友人、知人とも連絡を断ち家族にも顔を見せず次第に精神異常をきたし、自ら「殻」の中に閉じこもって苦しみあえぎ続けるのである。そして家族崩壊へと最悪の状態に陥ってしまう。前述のように、このようなむごい状態で自らの命を断ってしまう。それも皆、輝ける未来を持った若い人達なのだ。

このような時期、病気に対する抵抗力は確実に低下しガン患者やエイズ患者と同様に免疫力の低下は著しく、感染症にもかかりやすく、二次、三次の疾患を併発することになって、すでに失明している患者にとっては、さらにむごいものがある。

自然療法では、このような人々を完全な身体になるまでつまり、痒み、炎症が全く消退し皮膚はツルツル・スベスベという完治状態まで、2年~3年~5年~8年と患者と共に泣き、共に苦しみ、共に悩み最後は共に笑えるまで精神的支えとなって導いてきた。

その間の苦労は、筆舌に尽くしがたいものがある。まさに、命がけのカウンセリングだからこそ、そこには信じられない効果が現れたのであり、驚異の手法と言われ医療界が恐れる所以がここにあったのである。