このようなアトピー性皮膚炎に対する治療の実体とその予後について、患者は充分な情報を与えられていない。あくまでも医師側の勝手な都合の良い情報ばかりである。
ここで述べていることは決して誇張でもなく創作でもない、アトピー性皮膚炎に悩む患者であれば、すでに実体験として理解している。
では次に何故そのような「悪化」状態に陥るのか、ステロイド治療の「化学的根拠」ではなく人間の身体を科学する自然療法の「科学的根拠」に基づいて述べていこう。
免疫抑制剤・プロトピック軟膏・ステロイド(副腎皮質ホルモン)を外から与えることにより、体内にある「副腎」は外から入ってくるホルモンに頼るようになり、その産生・分泌機能を低下させ次第に自分の身体で副腎皮質ホルモンをつくることをしなくなる。このように下垂体、副腎機能がともに低下した状態で突然外からのステロイド剤の投与を断つと、今まで頼っていた供給が断たれるため血中の副腎皮質ホルモンの総量が減ってしまうことのなる。
ここで、副腎が身体に必要な副腎皮質ホルモンを、すぐ充分に「産生」「分泌」してくれれば何の問題もないのだが、残念なことに長い年月をかけて低下した「副腎機能」がそう簡単に回復するわけがない。そのため身体は一時的に、「副腎皮質ホルモン欠乏症」の状態に陥ることになる。
副腎が全く機能せず、副腎皮質ホルモンが産生・分泌されなければ人間は二週間と生きることができない、副腎はそれほど大切な小臓器であり、その臓器の機能が低下し、萎縮や不全状態に陥るわけだから身体に異常な状態が発生しても何ら不思議はない。したがって今まで常用していた副腎皮質ホルモン、ステロイドを突然中止することを医者は極端に恐がるのである。
通常のアトピー性皮膚炎の治療に用いるステロイド軟膏くらいでは、それ程までの事は起きないが、リウマチや膠原病に用いる飲み薬プレドニンの場合、多量常用者は突然の中止でアナフィラキシーショックを起こし、命を落とすことが実際にあるのである。
そして、このステロイド剤・プレドニンの「注射」「飲み薬」は、アトピー性皮膚炎の重症者にも頻繁に用いられている。それほど危険な薬物を患者は常用しているのだ。
このようにアトピー性皮膚炎もリウマチ、膠原病(自己免疫疾患)と同じ治療法で、ステロイド剤の強弱の差はあっても毎日常用し、免疫を抑制させ症状を上手にコントロールすることしか考えないのが現代の治療法なのである。
全国アトピー友の会にはリウマチ、膠原病の人々も数多くいる。アトピー性皮膚炎患者のその家族も含めると、その数は現在約1000人に達する。リウマチも膠原病も患者の体が一番強く求めているものは体を温めることである。
体が喜ぶ「温泉療法」であれば、徐々に薬を加減し、薬からの離脱を的確に行なえば治し方は決して難しくない、一年~二年程度の温熱療法でほとんど軽快する。しかし医療費全額控除の特定疾患であり難病、死病であるという情報を信じている患者は医師のプレドニン治療を離れる決心が、なかなかつかないようだ。
医師の仲間同士の本音では「絶対プレドニンは使うべきでない。自分の家族なら、親戚なら絶対に使わない、使わせない」と確信を持って彼らは話す。
何故なら多量のプレドニン使用におけるこれらの病気の予後を数多く見届けているからである。
何らかの事情により、副腎が破壊され、副腎皮質ホルモンが産生されなくなる「アジソン病」という病気があるが、この病気は完全な副腎機能不全であり、副腎皮質ホルモンが全く産生されないためステロイド剤を定期的に外から投与し続けなければ生命にかかわってしまう。副腎結核、副腎萎縮、悪性腫瘍の転移などによる副腎機能不全によって起こるとされ、特にヒドロコルチゾンの分泌が低下すると命にかかわることになる。
アメリカの第35代大統領ケネディが、このアジソン病であったことを知る人は少ない、彼はダラスで暗殺されるまで、ステロイド剤の投与を受けながら、その激務をこなしていたのである。
しかしアトピー性皮膚炎の疾患者は、アジソン病とは本質的に異なっている。アトピー性皮膚炎の場合は副腎の機能が破壊されたわけではなく、一時的に機能低下に陥っているだけであり、意味のない薬物投与を行なわなくても、その機能を回復させることは十分可能なのである。
もちろん離脱の症状としては、身体全体の浮腫、血漿惨出、発熱、悪寒、倦怠感など、アジソン病と同じようなものが認められ特にアトピー性皮膚炎では、痒みや炎症の増悪により掻き壊しがひどくなり、皮膚は血と膿と血漿が入り乱れ、さながら交通事故にでも遭った直後の状態にみえる。
だがこれらの離脱症状を決して恐がることはない、重症、末期患者でない限り、三ヶ月~六ヶ月程度でその症状は落ち着き始めるからである。重症から末期の患者でも本当につらい状態は八ヶ月~十ヶ月程度であり、実際に離脱してみるとそれほどでもない。医者がいうように、離脱が延々と続き永久に治らないと言うことは決してないのである。
副腎の受けているダメージが極端に強い人では、離脱の状態もその回復に合わせて増悪と軽快を繰り返し、症状が治まっていくための期間が2~3年と長期にわたるケースもあるがそのような重い離脱症状であっても、「離脱明けの」の時期は必ず訪れるのだから決して心配することはない。
要はいかに薬物から離脱し、いかに早く身体の機能を回復させるかであり、アトピー性皮膚炎にしても喘息にしても、他のアレルギー疾患の場合も要領はまったく同じである。
お分かりのように、ステロイド剤の使用中止により現れる「離脱症状」は、「アトピー性皮膚炎の悪化」ではなく、あくまでステロイド剤の長期使用による副作用の状態であり、またそれは人間の「内なる治癒力」の現れなのである。