アトピー性皮膚炎自然療法

世界一の抗生物質輸入国

世界中で年間生産される抗生物質の量は2000トンを超えているという、何とそのうちの約4分の1が日本で「消費」されているという。日本は世界一の抗生物質輸入国であり、最大の消費国になってしまった。

人の病気治療はいうに及ばず、成長を促進させるために家畜から養殖魚まで、さらには化学調味料の精製にいたるまで、まさに「抗生物質漬け」という最悪の状態である。

そしてそれらは人間の口から体内に入り、徐々に人間の身体の機能を低下させ、免疫力、抵抗力を奪い始めている。抗生物質の働きは、細胞壁の合成を阻害することにより、病原菌の増殖を抑えることであるが、同時に耐性菌などの二次的疾患の可能性を常にはらむことになる。俗のいうところの「院内感染」で、その代表的な例がMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)である。これは単なる常在菌である黄色ブドウ球菌が、抗生物質に対して耐性を持った、つまり抗生物質がまったく効かない菌に変異したものである。

病原菌も、生存のためには必死である、抗生物質などに対して耐性を持つように身体を作り変え変異するのである。こうして一つの抗生物質に対する耐性菌が生まれる。

人間もさらに耐性菌に対抗するために新たに抗生物質の開発を行なう。そして病原菌はその新しい抗生物質に対する耐性を得てさらに変異する。いたちごっこの始まりである。

ペニシリンからスタートした抗生物質の開発は、こうした背景をもとにセフェム系などの次の世代へ、次の世代へと際限なく進んでいる。このいたちごっこに終わりはない。もし終わりがあるとすれば、それはありとあらゆる抗生物質に耐性を持つ菌の発生により人類が滅亡する時だけであろうか。

病原性大腸菌(O-157)は、その「警告」の一つである。現代医療の薬物過剰投与によって免疫力、抵抗力そして自然治癒力が損なわれ本来は何の危険も生じない単なる常在菌に蝕まれ、なす術もなく破れ去るのであろうか。

このように人間がつくり出している薬剤がもしかすると人間自身を滅亡させる敵をつくり出すことになり、私たちの身の回りに浮遊・付着する単なる雑菌に侵され死んでいく日を近づけているのかもしれない。これは決して絵空事ではなく事実多くの医学者が危惧していることであり現実に近づいているようだ。

既にアメリカでは抗生物質は「保険適用」を受けられなくなっている。保険がきかないのであれば、抗生物質の投与を高い実費で受ける人は「本当に必要な緊急の人」に限られてくる。肺炎などの重篤な感染症で生命に危険が及んでいる状態でなければ、ほとんど使用されないことになる。

製薬会社が、新しい抗生物質をつくるためには、十数年の歳月と数百億の膨大な費用がかかるそうだ。ようやく完成した新薬であってもその抗生物質に対して耐性菌が現れれば、それまでの寿命ということになってしまう。実際に今世紀最大の抗生物質でMRSAにも効果があり耐性菌の発生はあり得ないといわれ病原菌に対する切り札とされた「バイコマイシン」についても、その耐性菌(VRE・バイコマイシン耐性菌)が薬の発売から何年もたたないうちにすでに発生し日本においても死者が出ている。

そこでアメリカでは新たな抗生物質の積極的な開発は見送られている状況にあるという。