アトピー性皮膚炎自然療法

ノン・コンプライアンス(医師への不服従)とインフォームド・コンセント(説明と同意)

現在のステロイド剤による治療が、アトピー性皮膚炎が一つの疾患として認識され始めた当初から使い続けられてきた治療法であることは前にも述べた。

この誤った治療法をなくす方法が、一つだけある。医師はステロイド剤の治療に頼らなければ、アトピー性皮膚炎患者の診療を「医業」的に行なえない、本来これほどまで社会問題化した危険なステロイド療法は、欧米諸国のように限定した使用にとどめるべきである。

他の無難な薬物(非ステロイド軟膏、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤)等の治療とし、他の生活改善を合わせて指導すれば、アトピー皮膚炎はそれでも確実に改善するはずである。しかし、ステロイド処方の三分診療が手っ取り早く患者をさばけることから、それらの治療法を行なわないのである。したがって、医師の側に大きな期待を抱くことはでない。

しかし、薬剤としてのステロイド剤は「需要」があるから使われる。そこでこの「需要」を無くせばどうだろう、当然、需要のない薬剤を供給側である製薬会社はつくらないことになり、医師も必然的に使いようがなくなる。

すなわち、これまでの誤った治療法をなくすという、アトピー皮膚炎の患者を救うための最も近道は、アトピー性皮膚炎患者自身でつくることができるのである。

実際の疾患者である皆さんが、ステロイド剤の治療を「拒否」すればよい。これを「ノン・コンプライアンス(医師への不服従)」という、現在、病院や医院から処方された薬を指示通りに飲まないで、勝手に量や回数を減らしたり、飲むのをやめたりする人が増えている。ノン・コンプライアンスは、薬害事件が起きるたびに強まる傾向にあり現在では「薬」に対して、また処方する医師に対しても、人々の不信感は日増しに強くなってきている。

しかしある新聞に掲載されたノン・コンプライアンスに関する記事では、患者が「素人判断」で薬を減らしたり止めたりすることは危険である、医師の「さじ加減」という技術を信じて「ノン・コンプライアンス」という態度はとるべきではない、とされていた。

しかし、このノン・コンプライアンスという態度を表面化させた原因は、患者ではなく、そもそも医師が行なってきたと療法にある。また常用する薬を加減したり、中止したりすることが何故「危険」なのか、それほど「危険」な薬物を何故人の体に使用しなければならないのだろうか。

「さじ加減」が医師の技術というのであれば、複数の薬を同時に出すのはどういうわけなのか、諸外国ではひとつの疾患に処方される薬剤は基本的には一種類しかない。風邪に抗生性物質、せき止め、解熱剤、そして胃腸薬などが出てくるような日本の医療とは大違いである。なぜ外国では一種類なのだろうか、理由は単純明快である。

患者に対する薬剤の薬理作用は、その臨床の際にはほとんど単独で行なわれているからで、基本的に薬物は「毒物」であり、複合化させて使用した場合、その組み合わせでどのような影響つまり副作用が出るのかまったく未知数であるからである。これらの複合化による副作用の死者は現在絶えることがない。またたとえ急性的な死に至る副作用はなくても、慢性的副作用の危険性が常にともなう以上、臨床のない使い方はしないということなのである。

誰が聞いてもおかしいと思うような薬の使い方を医師がしている場合、患者がそれに対して疑問の声をあげることは決して間違ってはいない。医師は医療において絶対でなければならない、それを前提に患者は絶対的な信頼を置く、頭から自分自身だけが正しいと決めつけるのではなく、患者の疑問の声に答えてこそ医師はその信頼に応えることになるのである。そしてこれこそが、正しい医療のあり方といえるのではないだろうか。

「ノン・コンプライアンス」は医師に従わないのではなく、医師の行なう治療法に疑問を投げかけていることなのである。患者のこのような行為を真摯に受け入れ、今こそステロイドに頼らない治療法を確立すべきである。
日本人は昔から病気を治すことに対して医師は「神様」であり、患者は黙ってその治療を受けなければならないという考えをもってきた。

また寄らしめるべからず、知らしめるべからずといった昔の医療ならともかく現代では、治療を受けるか受けないかは、医師によって「受動的」に決められるものでなく、あくまでも患者自身が「能動的」に決めるものである。
現代医療の大切な基本姿勢に、「インフォームド・コンセント」(説明と同意)がある。

すなわち治療を行なう際、患者に対して治療の方針や薬物の副作用などの充分な説明を行い、そしてその治療を「行なってよい」とする患者側の同意を得なければならないというものである。したがって、アトピー性皮膚炎の治療を受ける際、もしステロイド剤を望まないならば、医師にはっきりとそのことを告げればよい。

これが徹底されるだけで、ステロイド剤の「需要」が減り、「供給」の必然性がなくなる。そうすることによって、ステロイド剤がアトピー性皮膚炎の治療として使われることは、必然的に激減する。患者が治療に対する「意見」を医師に述べるということは、決して間違ってもいないし、否定されるべきものでもない。医師であれば、誰でも知っているはずのことである。

患者側も今後勇気を持って、「免疫抑制剤・ステロイド剤を使わない」運動を徹底させる必要がある。アトピー性皮膚炎患者を救う方法の一つとして、患者の正当な「権利」である「説明と同意」を求め、場合によっては「ノン・コンプライアンス」の姿勢を貫くことも大切なことである。現代医療がステロイドに頼らず本来のアトピー性皮膚炎を治す治療法に戻るためにも、この考え方がそしてこれらの運動が徹底されることを望みたい。