アトピー性皮膚炎自然療法

ステロイド離脱症候群

現在のアトピー性皮膚炎の治療現場では、再三述べてきたように免疫抑制剤・ステロイドなどで「痒み」を抑えようとする治療が主流である。

しかし、患者はいずれステロイド治療に疑問や不安を抱き、医療不信に陥り、医師の行なう「離脱法」や「民間療法」に走ることになる。そこではじめてステロイドの恐ろしさを知ることになり薬物から離脱を決意する。

この時期になると医師の治療に対する不信感は強くなり、患者はすでに西洋医学のステロイド治療に見切りをつけている人が多い。ところが、軽症・中症状の患者ならともかく、重症、末期症状患者がステロイドから「離脱」することは至難の業である。覚醒剤つまり麻薬の常習者の薬物離脱と同様に、その禁断症状は非常な苦痛を伴うものになるからである。

ステロイドの連用が15年~20年間と続き、身体に強いダメージを受けていればいるほど、その苦痛は想像を絶するものになる。まさにこのあたりの症状まで進んでいる人々にとってはステロイド治療を断つか、それとも続けるか、厳しい選択を迫られる。しかし生きるためにはそれらの試練、つまり離脱症状を受け入れなければならない。「真の健康」を取り戻すためには、それらに対する「勇気」が必要なのである。

ステロイドを止めるのはよいが、離脱症状が怖いからまた増悪した症状になるのが辛いからと漫然と使い続けている人々、また「副作用はめったに出ないものだ、副作用が出るまで安心して使えるから心配しなさんな」と実にいい加減で無責任な治療をいまだに行なっている病院が多いことも事実である。

したがって、このような症状に陥っている人は、しっかりと自らの症状を冷静に判断し、別の「科」でよいから複数の信頼の置ける医師に相談するのが良いと思う。

現在、さまざまな病気に対し薬を常用している人は多い、その結果、副作用で取り返しのきかない障害者となり、二次、三次の疾患が併発し、さらに重症化し、また命を落とす人々も数え切れない。

しかし、そういった疾患者の身体は、急にその常用する薬をやめたからといってアトピー性皮膚炎ほど無惨で、悲惨なものには変化しない。アトピー性皮膚炎治療の塗り薬、飲み薬、免疫抑制剤、ステロイド(プレドニン)常用者に限って、恐ろしい離脱症状が出現するのである。

なぜそのような違いがみられるのだろうか、その理由はこの薬物が、更に自律神経の働きを乱し免疫を抑制する、つまり人間の持つ抵抗力、自然治癒力、病んだ身体から回復しようと努める人間本来の自然の働きを抑え込み、働かない状態にするものであり、結果的に内蔵機能、ホルモン産生、分泌機能の低下を招かせ、病気を完治、根治へと導くためのものではないからである。

「離脱状態」という症状は、言い換えれば、塗り薬、飲み薬、注射等で長い間使用した免疫抑制剤ステロイドの薬物投与を中止することにより、それまで抑え込まれていた異常状態が解かれ、人間本来の働きをもつ健康な身体に戻ろう、戻そうとする「治癒系」の働きに伴う治癒力の現れである、従って決して「悪化」ではない。

つまりステロイド等薬物の乱用によって、代謝が活発でない患者の身体は、薬物が蓄積されそれらが大きな重しとなってのしかかり、患者の治癒系を阻害し、免疫系、自然治癒力の働きを抑え込んでいる状態なのである。

常用する薬物の中止によって長い間抑え込まれていた治癒系の働きが突然活発に働き、体内、血中の薬物、老廃物等蓄積していたものを一挙に排出、排除し始めた結果なのである。それらが皮膚の表皮、真皮、場合によっては細胞組織と破壊された部位から滲出する姿が離脱症状である。

あらゆる病気の疾患者が常用する薬物から離脱をはかった場合、その症状には一時的に軽快するケースと増悪するケースがある。しかしほとんどの場合、それらの症状は何らかの苦痛を伴う増悪状態であり血液検査でも、それまでにはない異常が認められる。

これらは医師がよく云うところの、薬を止めたために「悪化する」つまり「はね返り」の現象で、内容的には離脱症状と同じである。人の身体は、薬物に依存した状態から自らの機能に戻る際に、さまざまな症状を現すものであり、それがいわゆるネガティブ・フィードバックといわれる現象である。

しかし病院の大半は、こういった離脱の状態を症状の「悪化」として、常用する薬物を勝手に止めると病状が悪化すると言って薬物からの離脱療法を目の仇にして批判する。

そして、医師のいうことを聞かず勝手にステロイド使用を中止したために増悪し、発病したとする「ステロイド離脱症候群」という新しい疾患の病名を作り出し、こうした患者を良心的なクリニックが行う離脱療法、また民間療法の「被害者」として位置づけ社会問題化させてきた。

1998年から始まったアトピー性皮膚炎の民間療法バッシングにおいては、アトピー性皮膚炎「不適切治療健康被害実態調査委員会」なるものを発足させ、自らの治療法の反省もしないで薬物ステロイドの使用を控え、自然治癒力を助長し治療を行なう良心的な医師を営業妨害に近い手法で叩き、さらに民間療法すべてを十把一絡げで悪質、悪徳呼ばわりにし、調査結果としてその多くは科学的根拠を欠き、有効性が実証されたものは皆無であると発表した。

新聞報道を見るとアトピー性皮膚炎の薬物治療の「実体」を知らない一般世間の人々は、やはり民間療法は悪質で悪徳であり、アトピー性皮膚炎をビジネスにした悪徳業者ばかりだと思うだろう、確かにそのような業者もいたのかも知れない、しかしよく考えて自らのステロイド治療法を見つめてほしい。アトピー性皮膚炎の「不適切治療健康被害実態調査委員会」と称するものは、民間療法に対してではなく現代のステロイド治療を行なうものに必要であるということに気付いてほしいものである。

患者が民間療法に走るのは現在の免疫抑制剤・ステロイド治療に問題があるからで、良心的な医師が行なう離脱療法や民間療法は、免疫抑制剤・ステロイドを使用しないため安全であり時間はかかるが確実に改善している。なぜならそれらの療法を行なっている人々は、治すために必要な条件として自らステロイドを既に断っているからである。

何よりも何年続けようが副作用によって障害者になる確率はゼロである。また「科学的根拠を欠き」と言っているが、ステロイド等の薬物治療には化学的根拠はあっても、科学的根拠は全くないのである。

薬物で人間の身体をコントロールしているだけで、ステロイドが人間の体に与える影響、つまり痒み・炎症という症状を抑えることに対しては効果があったかもしれないが、病体の改善、アトピー皮膚炎を治すという意味ではその効果は全くゼロであり、逆に結果的に悪化させているのが現状である。TV・週刊誌等の報道を見れば、苦しいこじつけ「奇弁」がみえみえで全く説得力がない。

何故ならその使い続けている薬を止めてみればよい、止めた途端にもとの身体以上に増悪した状態となって現れる。これらは薬を勝手に止めたから悪化したと言っているが、現代医療の論理では、患者が失明しようが、多臓器不全になろうが、また障害者になろうが、あなたがたは死ぬまでステロイド・免疫抑制剤を使い続けなさい、止めると「悪化」しますということである。

これらの離脱症状を全く理解しないで、ステロイドを止めた患者の症状を全て「悪化」と決めつけTV、マスコミを使って民間療法で悪化! 多くの患者が生活に支障をきたしている、これらは大きな社会問題だと自分達の責任をひたすら覆い隠し、さも民間療法が悪いのだと何も知らない世間の人々にアピールし、自らの治療の実体を覆い隠しているだけなのである。