たとえば症状や「がん」そのものが目視でまったく認められない「完全寛解」であっても、まだ「がん」が治った訳ではない、がんの発生を許してしまった免疫力の低い体に変わりはないのである。
体の中では気付かないうちに、新たな「がん」が発生し、また取り残しや転移していた「がん」が増殖を始めるのは決まってこの時期であり、そうなれば再び体を蝕み始めることになるからだ。
前にも述べたが再発しない、再発させない体つくりは、この時期の生活にかかっているのだ。したがってこの寛解期は場合によっては思い切って仕事を休み、自らの環境をガラリと変え、転地療養、温泉湯治などをして静かに人生を見つめ直すことが大切だ。
この時期、長期海外旅行に出かける人もいるが、見るもの聞くもの、目新しいことばかりで毎日交感神経が緊張しっ放しで体が休まる間がなく、逆に体に負担をかけ悪化を招く結果につながることが多い。
これらは自らの体力の限界に挑む長距離マラソンや登山など生きがい療法にもいえる、ひとつの達成感は一時的に免疫力向上に繋がることもあるが、病状に見合った運動量を取り入れていかないと、後々極度の疲労を抱え病状の悪化を招くケースも多い。決して在りし日の思い出作りになってはならないのだ。