術後の回復は順調で検査の結果腫瘍マーカーやCT、MRI等すべてが正常で全くがんの症状が認められなくなる人は多い、しかしまだ病み上がりであることに変わりはない。
免疫力はまだ普通のレベルまで回復していない状態である。決して油断してはならない、この時期しっかりした養生が必要である。またコンプリートレスポンス(CR,腫瘍が完全消失して4週持続)という太鼓判をもらって有頂天になり、がん克服の祝い酒が連夜続くような荒れた生活に戻ったり、また急ぎハードな仕事に戻ったりと、それらを優先し自身を見失い体に対する思いやり、いたわりの心を忘れた生活が続くと、二度と生きる歓びが得られなくなる結果が待ち受けている。
私はこのような人々も数多く見てきた、つまり手術は成功しても患者が死んでしまっては医師の努力は報われないし、術後の生存率も下がり医師としてはつらいものがある。 したがって良い予後にするか、悪い予後にするか、つまりがんを死病にするのか、単なる生活習慣病で回復が容易な疾患にするのかは、術後のリハビリ期の治療法と、その患者の「養生」次第で決まるということができる。