肺がんで医師から余命1年の宣告をうけた45歳の男性は会社を辞めアパート引き払って世捨て人になり放浪の旅に出たという。どうせ1年のはかない命なら自由気ままに余生を生きたかったのだろうか、そのような時期、彼は私のところに来た。多くを語らず、もの静かな人に見えたが、何か思いつめた様子はあった。
食べたいものを食べ、したいことして温泉三昧で、食べているか、寝ているか、釣りをしているか、温泉に入っているか、という毎日だらだらした生活が数ヶ月続き有り金も底をつき始めた、しかし寿命の限界が近づくどころか、日を追うごとに元気になってしまい、医者の予言は見事にはずれ、彼の思惑は幸運にも外れてしまった。
彼は半年後実家に帰り仕事に就き、現在も元気に生活している。既に5年を過ぎ6年目に入っている、再三病院での検査を勧めるが、病院に行く気はまったくないようだ余命の宣告を受けた病院が、余程トラウマになっているのだろか、どうせ拾った命、死んでも行かないと今でも言い張っている。