信じる医師の勧めで今までの義理もあり、どうしても断れないと悩む人もいるが、そのような場合投与量、照射量については最小限にとどめ、よりダメージが少ない治療を申し出ればよい、場合によっては途中で治療を断って逃げる勇気も必要だ。この辺りの考え方、つまり「インフォームド・コンセント」(説明と同意)が実に大切になってくる。
自らの命が掛かっているからにはこの時期、医師に都合の良いお付き合い治療などしてはいられない、医師はあなたの「命」を守ってはくれないからである。したがってこの時期の抗がん剤等、化学療法に対して、はっきりと「ノン・コンプライアンス」(医師の提案に対して不服従)の姿勢を貫くことも大切である。
患者にとってはこの時期不安はあるにせよ体の違和感も少なく、なんとなく調子が良く、ここまで医師に治して貰った?という感謝の気持ちもあるだろう。それぞれ良いにしても悪いにしても自分なりの生活をしている。これは前にも述べたが、免疫力が低い人の体であっても、治癒を阻害する薬物投与がない限り、体は徐々に回復に向かうための仕事を始める。
つまり自然の治癒が活発になり始めているということである。大切なことは、いかにこの状態を促進し、その継続を図るかであり、がんを克服するための秘訣はここにあるのだ。従って術後一時的に現われるこのような「寛解の時期」の治療のあり方、養生の仕方に、治るか治らないか、そのすべてが掛かっているということを忘れてはならない。